小さな農業や農的暮らしを楽しく続けるためには

前回、新NISAの話をして、反応が良かったので、また少しお金の話をしてみます。今回は小さな農業や農的暮らしは意外にライフパフォーマンスが高いと言うお話です。

僕の認識している小さな農業というのは、個人の農家が昔ながらのテクニックを使い、無農薬・無化学農法で少量生産の手作り野菜を作っている、言ってみればクラフトビールとかみたいにクラフト野菜を作っている、というイメージです。
栽培される野菜も個性的だったり、伝統的だったり耕作者の思いがこもっているものが多いと思います。
環境に配慮した農地の使い方をしているという特徴もあって、この点では持続的な農業と言える部分もあるのではないでしょうか。

ただ、野菜作りにとても手間がかかるために少量しか生産できず、生活費を小さな農業で賄うのは大変です。僕の周りの小さな農家もみな頭を悩ませています。
いくら農法が持続的なものでも、農家自身が低所得で持続できないのでは、それは持続的な農業ではありません。

どうしたらいいのか、考えてみますね。

実は高いパフォーマンスの小さな農業・農的暮らし

お金を稼ぐということだけを見てしまうと、小さな農業はとても効率が悪く見えてしまいますが、節約という点で考えてみるとどうでしょうか。
都内に暮らし月に食費が6万円かかっている人が、小さな農業をはじめて食料を半分自給し、食費を月に3万円節約できたとします。

月に3万円節約ということは、月の収支が3万円増えるということです。

月の収支3万円を投資で増やすには、どのくらいお金がかかると思いますか?
株式や不動産投資で、リスクとリターンのバランスの取れた年間の利回りは3%~5%です。一般的な個人投資家は、みんなこのあたりの利回りで資産を運用しています。

例えば不動産で100万円を4%の利回りで運用した場合、年間の収入は4万円になります。ということは、不動産で月3万円の収入を得ようとすると、同じ利回りなら900万円を4%で運用して年間36万円が必要です。(36万円を12か月で割ると3万円ですから)
つまり月の収支を投資で3万円増やすとなると、900万円~1000万円の投資が必要になるのです。

1000万の投資余力を作るのは並大抵の努力ではできませんが、月3万円の節約を農的暮らしで獲得するのはそれほど難しくありません。

郊外で低コストな暮らし

小さな農業や農的暮らしをするなら都会を離れて暮らすことになります。
田舎でもモノの物価などはそれほど都会と変わりませんが、住居費は圧倒的に低く抑えられます。

都心で家賃12万円かかっていた人が、田舎に引っ越して家賃6万円になったとします。先ほどの投資の利回り計算に当てはめてみると、月の収支が6万円増えるということは1800万円~2000万円の投資資金が必要になります。

半自給による節約3万円と、(あくまで相対的ですが)家賃6万円の節約で合計9万円の節約。投資利回りで計算すると、3000万円近く投資しているのと同等に月々の収支が増えるのです。
節約という視点で見ると、小さな農業と農的暮らしは、高いライフパフォーマンスを持っていることがわかります。

また、節約で食費を減らしても自給した野菜や果物をいただけるので、不健康な節約にならないという点も考慮したいところです。

問題は収入をどうするか

冒頭で述べた通り、小さな農業が力を発揮するのはあくまでも節約においてです。収入を増やすという点ではとても苦労します。

小さな農業は生産の効率が悪く、圧倒的に手間がかかります。農薬も使いませんから、虫や病気にやられ放題です。全滅することも度々。かと言って単価を大きく上げることはできません。いくらこだわりの野菜で手間と時間が5倍かかるからと言っても、市場価格の5倍も出してくれる人はまずいません。なので、小さな農業でまともに稼ごうとすると、休日もなく、長時間労働といったブラックな職場環境になりがちなのです。

自分で食べる分であれば、虫に食われたり形の悪いモノも許容できますが、売り物となると厳しくならざるを得ません。食べる分だけを作るのと、商売として作るのとでは、緊張感がまるで違います。

小さな農業を楽しく続ける鍵はマルチインカム

せっかく、自然豊かなところでゆったりとした生活がしたくても、お金と時間に追われているのでは、とても落ち着いた生活など望めません。

そこで、収入を農業収入にだけに頼らず、マルチインカムを得ることを考えます。

まず、収入をストック型(株式配当、不動産収入など資産からのインカム)、フロー型(自分の労力や時間を使う事によるインカム)折衷型(ストック型とフロー型の中間、ブログやユーチューブなど)に分けて考えます。

大事なのはストック型、フロー型、折衷型インカムのバランスを考える事です。数種類のマルチインカムがあっても、全部フロー型のインカムでは、結局時間に追われてしまうからです。

農業やって大工もやってコンビニでバイトしてたら、いくらマルチインカムでもしんどいだけですよね。

少しづつでもストック型と折衷型のインカムを増やす

鍵を握るのはやはりストック型インカムです。

不動産はハードルが高いので難しいですが、株式は誰でも参加できるほどにハードルが下がりました。ネット証券で株式を買うことは、スタバでフラペチーノを注文するより簡単です。特に今年から始まった新NISAを利用すれば、ストック型インカムをふやす手助けになります(前回記事書いた通り)。

株式をよく勉強し、コツコツとストック型インカムを増やし続ける。これが小さな農業を楽しく続ける最善の方法でしょう。

折衷型インカムの方も、コツコツとブログを書き溜めたり、得意ならばユーチューブなどで情報を公開し続ければ、少しづつでも、収入になっていきます。運が良ければ稼ぎ頭になるかもせれません。

まとめ

Aiの台頭でIT系や士業などの頭脳労働の価値が下がり、単純労働の需要は壊滅的に減っていくと言われています。逆に小さな農業や手仕事など、昔ながらのものづくりの価値が上がる可能性も出てきました。将来のリスクヘッジとして手仕事を身につけるというのも面白いかもしれません。

小さな農業や農的暮らしは生活を守る守備力が高いのです。横のつながりにも強く、地域で暮らす仲間が自然と見つかります。きちんとしたマネーリテラシーを身に着け、安定したマルチインカムを増やすことができたら、現代社会の生き残り戦略としては最強クラスになるんじゃないでしょうか。 

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